発達性トラウマとSE™の有効性

花丘ちぐさ氏の著書**『その生きづらさ、発達性トラウマ?』**は、日本におけるトラウマケアの第一人者が、幼少期の環境によって生じる「発達性トラウマ」の正体と、その回復への道を提示した一冊です。

特に、身体感覚を通じて神経系を整える**SE™(ソマティック・エクスペリエンシング®)**という手法が、なぜこの問題に効果的なのかを分かりやすく解説しています。

本の概要とSE™の有効性について、重要なポイントを整理しました。


1. 本の主要なテーマ:発達性トラウマとは?

本書では、単発の衝撃的な出来事(ショック・トラウマ)ではなく、**日常的な養育環境の中で、適切なケアや安心感が得られなかったことで生じる「発達性トラウマ」**に焦点を当てています。

「診断名がつかない」苦しみ: うつ病や適応障害と診断されても、根本的な原因が幼少期の愛着や環境にある場合、従来の対話型カウンセリングだけでは解決しないことが多いと指摘。

身体に残る記憶: トラウマは「頭(思考)」ではなく「神経系(身体)」に刻まれているため、本人の意志や努力だけではコントロールできない生きづらさを生みます。


2. SE™(ソマティック・エクスペリエンシング®)の有効性

著者の花丘氏は、SE™のシニア・プラクティショナーでもあります。本書では、発達性トラウマの解決策としてSE™の考え方が核となっています。

なぜSE™が有効なのか?

SE™は、野生動物がトラウマを負わない仕組み(震えてエネルギーを放出するなど)を人間に応用した心理療法です。

「過覚醒」と「低覚醒」の調整: 発達性トラウマを抱える人は、神経系が常に「戦うか逃げるか(イライラ、パニック)」の状態か、「凍りつき(無気力、解離)」の状態にあります。SE™は、この極端な振れ幅を、身体の感覚を丁寧に追うことで中立な状態(レジリエンスの幅)へ戻していきます。

「トップダウン」から「ボトムアップ」へ: 一般的なカウンセリングが「思考や理解(トップダウン)」からアプローチするのに対し、SE™は「身体感覚(ボトムアップ)」からアプローチします。言葉にならないほど深い傷を負った発達性トラウマには、身体から安心感を積み上げるこの手法が非常に効果的です。

少しずつ進む「タイトレーション」: 過去の辛い体験を一気に話す(再トラウマ化)のではなく、耐えられる範囲で少しずつ(滴下するように)未完了のエネルギーを解放するため、安全に回復を進められます。


3. 本書が提示する「回復のプロセス」

気づき: 自分の生きづらさが性格のせいではなく、神経系の反応(トラウマ)であると理解する。

安全の確保: 今、ここにある安全な感覚(リソース)を見つける。

身体との再接続: 自分の体の微細な感覚(心地よさ、不快さ、体温など)に意識を向ける練習をする。

神経系の再構築: 専門家のサポートを受けながら、身体に溜まったサバイバルエネルギーを解放し、安心の回路を作り直す。


まとめ:この本を特におすすめしたい方

「原因は分からないが、ずっと不安や虚無感がある」と感じている方

アダルトチルドレンや愛着障害の自覚があり、身体的なアプローチに興味がある方

対話型のセラピーではあまり変化を感じられなかった方

ポイント: 本書は「あなたのせいではない」という優しいメッセージと共に、科学的な神経理論(ポリヴェーガル理論など)に基づいた具体的な解決策を提示してくれる、希望の書と言えます。


そらとり神経調律専門サロン

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